聖書、アリストテレス、奴隷制、キリスト教


異相のヨーロッパ―一神教と支配意識の構造
マルジュ社
海原 峻

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アリストテレスの奴隷 ...
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かなり、左がかったフランスの政治学研究者が考えたギリシア哲学、

キリスト教と奴隷制の問題とヨーロッパの思想にもぐりこんで、暗黙の

うちに仮定されている哲学的な思考やキリスト教的な思考の問題に

潜む問題の断片を示したエッセー集です。

 この本は、断片を示してはくれますが、総合して、このようなものだ、

ということは言わないタイプの本なので、奥歯に物が詰まったような話

しを聞いている印象を受けます。しかしこの本が示している重要な部分

は、ヨーロッパ史およびヨーロッパ人、その後継者であると思い込んで

いるアメリカ人の中に含まれる野蛮や未開の思想と、奴隷制の問題を

考える糸口が示されている点です。たとえば、アリストテレスの政治学

を日本語の翻訳本で読むと、全訳ではなくて、部分訳になっており、

ヨーロッパでの思想やヨーロッパ人の生き方に影響を与えた、今もなお

影響し続けているはずの奴隷や奴隷と社会との関係の部分が抜けて

いるようなので、偏ったギリシア哲学の理解・理想化されたギリシア

哲学ということが構成されている可能性を示しています。

 また、このアリストテレスの考え方が、ギリシア世界人であったアウ

グスティヌスの思想やギリシア哲学の影響を受けつつ神学を体系化し

ていこうとしたトマス・アキィナスへの影響なども示唆していますが、

それを体系づけられて説明されていないところが、この本の欠点です。

ただ、この種の批判的視点を持って物事を考えられるかどうかは、

極めて重要なので、個人的には非常に参考になりました。

 個人的には、★3つ中★2ですが、普通の人には、わけわからない

話しの羅列になる可能性があるため、★3つ中★0.5でしょう。

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